ヴァニタス
そう言った父に、私と武藤さんは顔を見あわせた。

「――果南ちゃん…」

「――武藤さん…」

名前を呼んだ瞬間、私の目から涙がこぼれ落ちた。

武藤さんのことを認めてくれた。

武藤さんのそばにいることを許してくれた。

私は両親が武藤さんのことを認めてくれたことが嬉しくて仕方がなかった。

「今夜はごちそうだな、母さん」

父が母にそう言った。

母はフフッと笑うと、
「そうね、今日の夕飯は果南の好きなものにするわね」
と、言った。

「ありがとうございます!」

武藤さんが両親に向かって頭を下げたので、
「ありがとう、お父さん!

ありがとう、お母さん!」

私も両親に頭を下げた。
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