ヴァニタス
「ただの風邪かも知れないけど、医者に診断してもらった方がいいと思う」

そう言った武藤さんに、私は首を縦に振ってうなずくことしかできなかった。


武藤さんに支えられるように、私は病院へと向かった。

「おめでとうございます」

そう言った女医の言葉に、私は自分が何を言われたのかよくわからなかった。

何故か私たちが案内されたところは産婦人科で、そこで簡単な検査をした後で女医から言われた言葉がこれだった。

回転式の丸椅子に座っている私の横で、武藤さんは訳がわからないと言うように首を傾げている。

「――あの、何が…?」

私は目の前でニコニコと笑っている女医に質問をした。
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