ヴァニタス
「じゃあ、絵の話はこれくらいにしようか」

武藤さんはキャンバスをまとめると、隅の方にあるキャンバスの山に持って行った。

私はもう1度リビングを見回した。

あっ、今気づいたけど、ここにはテレビもなければ時計もないや。

武藤さんはいつもどうやって時間を見ているのだろう?

「時計がないんですね」

そう言った私に、
「外見ればだいたいの時間がわかるよ」

そう返した後、武藤さんはテラスの方へ向かった。

私も彼の後を追うように、一緒にテラスの方へ向かった。

カラカラと窓を開けると、潮を含んだ風が部屋の中に入ってきた。
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