ヴァニタス
武藤さんは空を指差すと、
「太陽が時間を教えてくれるんだ」
と、得意気に言った。

「太陽、ですか?」

私は武藤さんが指差している空に視線を向けた。

太陽は真上から少し傾いていた。

「太陽の動きで、今が何時か教えてくれるんだ。

真上が正午、影が長い時は2時、海の方へ太陽が沈む時は5時前後、って」

「へえ」

たったそれだけで時間がわかるんだ。

だけど、
「天気が悪い時はどうするんですか?

曇りや雨の日なんて、太陽が出ていないから時間がわからないじゃないですか」
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