ヴァニタス
これじゃあ、立場が逆だ。

立場的には武藤さんの方が上のはずなのに。

武藤さんを起こそうと思って顔を覗き込んだら、
「――んっ、んんっ…」

彼の目がゆっくり開いた。

「――あれ…?

果南ちゃん、だ…」

寝起きのせいでさらにしゃがれてしまっている声に、
「私以外の誰がいると思っているんですか?」

私は返した。

「あー、そうだね。

ここにいるのは、俺と果南ちゃんだけだったね」

呟くように言った後、武藤さんは背伸びをした。
< 50 / 350 >

この作品をシェア

pagetop