ヴァニタス
「やっぱり、床のうえで眠るのはしんどかったでしょ?」

武藤さんが言った。

「えっ?」

聞き返した私に、
「果南ちゃん、気持ちよさそうに眠ってたから」

武藤さんは目を細めた。

クシャッと笑ったとたんに、目尻にしわができた。

「眠ってた、と言うか…つい、ウトウトしちゃって」

言い訳のように呟いている私に、
「やっぱり、ソファーで眠った方がいい。

女の子が床のうえで眠るのはよくない」

武藤さんは言った。
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