ヴァニタス
荒らされた形跡は…なかった。

でも、何で?

私の頭の中を読んだと言うように、
「片づけておいたよ」

南部が言った。

「えっ…?」

片づけたって、何で?

南部は私に向かって笑いかけた。

口は笑っているけど、目は笑っていなかった。

その笑顔に、私は躰が恐怖で震えたのがわかった。

「そうだ」

南部は思い出したように言うと、
「これから、ご飯食べに行かない?」

そんなことを言ってきた。

何でそんなことが平気で言えるのよ…。

こっちは頼んでもいないのにロッカーを開けられて、そのうえ勝手に片づけまでされて…。
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