スイートナイト
巽の手が私の髪の毛を弄んだ。

「ベタベタしてるからあんまりさわらないで欲しいな」

少し迷惑そう…なふりをして言った私に、
「そんなのはお互い様だろ?」

巽は笑いながら言った。

「あ、そうだ」

巽が思い出したと言うように言った。

「今日さ、店に桜さんがきたんだ」

巽の口から静香の名前が出てきたとたん、私の心臓がドキッと鳴った。

「…静香、何しにきたの?」

ただ単に巽の店に遊びにきたとは思えなかった。

「静希のこと聞かれた」

そう答えた巽に、私はやっぱりと小さく呟いた。
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