スイートナイト
「――静、希…」

「――んっ…はあっ…」

巽くんの全てを、受け入れた。

もう後に戻れなくてもいいと思った。

彼に抱かれる前の私にも、彼に出会う前の私にも、もう2度と戻れなくてもいいと思った。

「――巽…」

私には、巽くんがいてくれればいい。

彼に向かって手を伸ばしたら、彼はその手を繋いでくれた。

躰を重ねるだけでも充分に幸せなのに、手を繋ぐだけでもこんなに幸せなんだ。

「――静希…」

巽くんが私の名前を呼ぶ。

私はそれに答える代わりに…彼の頭を引き寄せて、自分から唇を重ねた。
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