スイートナイト
その雫ちゃんがカウンターにいるところを見ると、どうやら彼はこのバーのマスターらしい。

「巽くん、元気にしてた?」

雫ちゃんは嬉しそうに巽に声をかけた。

「元気元気」

巽はそう答えると、椅子に腰を下ろした。

私も彼の隣の椅子に腰を下ろした。

「おや、彼女かい?」

雫ちゃんが私の存在に気づいた。

「まあね」

巽は一言返事すると、
「ウーロン茶2つね」

雫ちゃんに言った。

「わかった」

雫ちゃんは答えると、奥の方へと入って行った。

そのすきに、私は店内を見回した。

…よかった、静香はいない。
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