あたし、猫かぶってます。
「ちょ、お前!!!それはフライングだろ!!」
早瀬は一瞬、固まってーーすぐにあたしの腕をグイッと引っ張って、自分の方へ引き寄せた。
「人の彼女なんだから丁寧に扱ってよ。」
「無理矢理キスした奏多が言うなよ!!!」
2人の言い争いを聞くのは、いつ以来のことだろう。まだ1ヶ月と少ししか経っていなかったのに、ひどく懐かしく感じた、奏多と早瀬に助けられたあの日。
「大体、結衣は俺のなんだからキスしようが手を出そうが朔くんには関係ないじゃん。」
「いーや、あるね!!なんて言ったって結衣は俺が好きで、俺は結衣が好きなんだから。」
「けど、付き合ってんのは俺っていうね。」
「…ムカつく、お前!!」
「朔くんもね。」
変わってない、奏多と早瀬。こんなの、空気が読めない女の子みたいで嫌だけどーー
「「なに笑ってんの、結衣。」」
あたしはついつい、笑ってしまった。
「だって、奏多も早瀬も変わんないんだもん。」
「朔くんと一緒にしないでよ、」
「奏多、の【か】かなりウゼェの【か】だな。」
「……ふっ、バカだよ、2人とも。」
胸がキュンとして、なぜか嬉しくなって、同時に押し寄せてきた安心感にすごく泣きたくなった。
「結衣、泣くなよ?泣いたらキスすんぞ。」
「結衣にキスするのは朔くんじゃなくて俺の役割だから。 」
久しぶりだ、こんな気持ち。