あたし、猫かぶってます。
「奏…っ「ーー奏多。」
あたしの声を遮って、奏多を呼んだのは、早瀬。なんで呼んだのかなんて、あたしにも分からない。
「無理矢理消すの、やめた。」
フッと笑いながら、奏多にそう言えば、奏多は全てを理解したかのように、ちょっと切なげな表情でーー笑う。
「結衣と、話せたみたいだね。」
なんとなく奏多の顔を見るのが怖くて、あたしは俯きがちに足元を見る。
「ん。話した。」
そう言って、あたしの背中をポンと叩く早瀬。まるで俯くな、とでも言うかのような力強い早瀬の力にーーー覚悟を、決める。
「ごめん、奏多。あたし、自分に嘘ついていた。」
忘れたふりして奏多の隣に居るくせに早瀬のことを考えていて、中途半端に付き合っていたのは、あたしだ。
「ーーー知ってたよ、」
笑いながら、あたしの頭をポンポン叩きながら笑う奏多。
奏多が優しいから、傷付けたくないからって、ずっと自分を説得していた、あたし。奏多はいつから気付いていたんだろう。
いつからあたしは奏多に無理をさせていたんだろう。
「あ、言っとくけど無理とかしてないから。」
「え?」
「結衣のことなら、一番分かっている自信があるから、結衣が言いたいことも分かるよ。」
ーーーー奏多……
「まぁ、単刀直入に言えば、絶対に別れないけど。」
ーーーふわり。
優しい、体温があたしに伝わる。
って、……え?
「奪ってみなよ、朔くん。」
ニヤリと笑った奏多が、優しくあたしにーーーキスをした。