ここに在らず。


それはずっと口に出来なかった言葉。無意識のうち口にして、言葉にして向き合う事を恐れ、ずっと避けてきた言葉。


「私に…価値は、ありますか…?」


その言葉を口にすると、辺りの暗闇が勢い良く私へと押し寄せてきた。

それはとても暗く、重い闇。気づけば私はその闇に飲み込まれ、自分の足元さえ確認出来ない状態になっていた。

周囲がまったく何も見えない。すぐ足元すら見えない。そんな私にはもう、自分が今どこにどうやって立っているのかすら分からない。

すると…そうなると、次は音だ。いつもそう。何も見えない暗闇の中に閉じ込められると、次は音が奪われる。それまで自然と耳に入ってきていた物音が気づけばプツリと、まるで糸電話の糸を切ったかのように聞こえなくなる。

そしてーー私は、外界から遮断されるんだ。

ここは暗闇。私以外何も無い、何も聞こえない私だけの、たった一人の世界。きっと今日もこのまま一人、私は一人、この世界に隔離されるーー


「…孤独だ」

「ーーえ?」


ハッと、私は我に返った。

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