ここに在らず。
眠っている時が一番辛くない。何の意識も無く、気づいたら時間が過ぎている。これが私の理想形だと思った。眠っていれば、何の感情も無く、何が起こるでも無く、一日が過ぎる。
…そしてその夜だった。無駄に、無意識に流れる涙を頬で感じながら、ただただベッドの上で横になっている私の耳に、扉をノックする音が聞こえてきたのは。
「……?」
空耳?と、思った。ノックが聞こえてきた後、大体ガチャリと鍵が開く音がして誰かが来るはず。でもこんな時間には…初めてだ。
「…どうぞ…?」
と、声をかけてはみたものの、そのまま入って来る気配は無い。