ここに在らず。


「だから話をつけて、君を苦しめるそれから助け出してあげたかった。だからあの日そのまま藤堂さんと話をしに行ったんだけど…君を取り囲む環境を、変える事は出来なかった。その時、藤堂さんに俺は言われた。何故サエが外に?と。サエが外にいるはずがないと」

「……そう、そうなんです。私もそう思ってて、だって私は鍵がかけられていて…」

「あぁ、藤堂さんもそう言っていた。当たり前な顔をして監禁していると言う神経が信じられない」


そう言うトウマさんの表情は本当にとても険しくて、私はそんなトウマさんをその時初めて見た。怒っているのか、呆れているのか、悲しんでいるのか、哀れんでいるのか。これをなんて表せばいいのかが私には分からなかった。


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