ここに在らず。
私には…その意味が、すぐに理解出来た。
それは、その意味は、あなたが約束を守れようが守れまいが私にはもう関係無いんだよ、という事。
好きなようにすればいいけれど、私に迷惑はかけないでね、という事。
他人事感を漂わせる台詞。態度。全てが昔とは違って、それらから察する事はとても容易な事だった。
「…分かりました」
私の返事に満足した母は、そそくさと部屋を出て行く。
閉められたドア。あっという間だったその時間。ずっと顔を出さなかった母の何年振りかの訪問。久し振りの二人の時間。会話。
ーー最後まで、それらに対する言葉を母が口にする事は無かった。