ここに在らず。
もしあの人達が私へ提供する事をやめたとしたら…ここをもし、追い出されたとしたら、私はどうやって生きていくのだろう。知り合いも居ないし、あの人達の息のかかった人ばかりなこの地域で助けて貰う手段も分からない私は、一体どうやって…
ーー段々と、視界が狭くなる。
じわりじわりと、あぁ、いつもの暗闇がまたやって来た。
私は光を求めて呪文の様に名前を唱える。
トウマさん…トウマさん…
あの日をもう随分と昔の事のように感じた。思い出してみても姿形も声もうろ覚えで…でも一つ、あの私を見つめてくれる灰色の瞳。それだけはずっと心に焼き付いていた。
…トウマさんにまた会いたい。