ここに在らず。
私はいつもいつも思わされる。生まれてきた事は間違っていた。私はこの人達に生かされていて、私は私という存在を認めてはいけない。認められようなんてもちろん思ってはいけない。
ーーいつもより長く感じたその時間だったけれど、どんな時間でも終わりは来る。ようやく引きずられるように連れられてでも部屋を出る事が出来た私。すると、部屋の前をちょうどのタイミングで通り過ぎたのは…母。
目が合った。
それは一瞬だった。
しかしその母の表情は、私の脳裏に焼きついて離れなくなった。
閉じ込められた暗い倉庫の中。
私は必死に目を開いてなるべく何かを見るようにする。でもそこは光の差さない狭い倉庫。意識すればする程に暗闇の中へと連れ込まれて行くような感覚に追い込まれる。そして、ふと気を抜くと浮かぶのは、先程の母の表情。
腫れて赤くなった身体。一人では立つことも出来ず、引きずられるように外へ連れ出される惨めな私。そんな私を見て母は嫌悪感を露わにする。
…それはまるで、汚い物を毛嫌いするかのようなーーそんな冷たい、冷め切った目だった。