*ふわり、はつこい*
・・・何、期待なんてしてるんだろう。3年間一緒に過ごした友達と離れるのが寂しいに決まってるのに。本当に自分、馬鹿だ。


「あの、先輩・・・」

「ん?」

「・・・メ、メアド・・・教えてもらえますか・・・?」

「メアド?」


私は恥ずかしくなって下を向いたままコクンと頷いた。


「紙とかペン持ってる?」


先輩は私に掌(てのひら)を見せてそう言った。

私はその仕草で教えてくれるんだ、と嬉しくなった。


「も、持ってますっ」


私は慌てて自分の背負っていたリュックからノートの切れ端とペンを取り出し、先輩に渡した。


「ここにアドレス書いとくから。いつでも連絡してくれたらいいよ」


そう言って先輩は私に先輩のメアドの書かれた紙の切れ端を渡した。

・・・先輩のメアドっ。

小恥ずかしくて、嬉しかった。


「あ、それと」

「へ?」


先輩は何か言いかけた途中で自分の胸元の花をはずした。


「はい」


そしてそう言って私にその花を差し出してくれた。


「えっ」
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