ROMANTICA~ロマンチカ~
ヤナギヤを脅迫罪で訴えることは簡単だ。



だが、女性用下着を身に付け、しばられているあの写真を公開されることだけは、命をかけてもさけたかった。


部下連中に見られるわけにはいかないし、家族にはなおさら見られたくなかった。


ことに、一人娘の未央には。
 



「ごちそうさまでした。


それじゃ、今日のところはこれで。


また、明日にでも担当者に話をうかがいたいと思いますので、その時にはどうぞお取次ぎの方、よろしくお願いします」
 



立ちあがり、頭を下げる。



本音では嫌だが、高嶺としては嫌だと言えない事情があるので、黙ってうなずく。
 



「署長さん、タバコ、せめて本数を減らされた方がいいですよ。身体に悪いから」
 



探偵は部屋を後にし、苦虫を噛みつぶした顔をした高嶺がその場に残った。
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