ROMANTICA~ロマンチカ~
セレモニー会場に来ているのは、氷室物産の社員が圧倒的に多いようだ。



ママの会社の社員もちらほらとは見るけれど、元よりそんなに大きな会社ではないから、知った顔は少ない。



あっ、あそこにいるおじさん、政治家じゃないっけ? 


テレビで見たことある顔だ。


どうやら、あたしが思っているよりも大きなパーティらしいぞ。


政財界の有名人という人たちが呼ばれているらしい。



 
会場の女性客は、完全に二手のタイプに分かれている。



恐らく社員だろう、カッチリしたスーツに身を包んだキャリア・ウーマン風の人たち。




「宝塚歌劇団の方ですか?」と突っ込みたくなるくらい派手に着飾った一団。




宝塚組は、氷室物産の重役の娘さん方らしい。
 



「それじゃ、また後で」
 



セレモニーでのスピーチに備え、会場にしつらえてある舞台袖に向かった氷室涼輔。



彼と離れた途端、女性客の突き刺すような視線。
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