ROMANTICA～ロマンチカ～
思わず両腕で肩をかき抱く。


十月も下旬になると、夜の冷え込みは結構応える。


ましてや、肩を出し、胸の開いたイヴニング・ドレスなんて着せられた日には、凍えるシバレルたまらない。


まったく、どこの誰がイヴニング・ドレスなんていうものを発明したのだろ
う？　

夏場ならいざ知らず、寒くなってからまで肌を見せる必要なんてないじゃないか、露出狂じゃあるまいし。


イヴニング・ドレスを発明した人に文句の一つも言ってやりたくなる。


さっきまでは、植え込み奥のベンチに座っていたが、冷気がお尻に応えるので立ちあがった。


痔（ぢ）になっちゃ、たまらない。
　


この寒さの中、そんな格好で外にいるあたしはバカだ。

大バカだ。

風邪を引いても当然の大バカ。
　


パーティ会場となったホールは、ホテルの中庭に直接出られるようになっている。


お酒で火照った身体を夜風に当たって冷やすこともできるという粋な計らい。
< 135 / 369 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop