ROMANTICA~ロマンチカ~

3.都季

「いーやーだー! ヤダって言ってるでしょ、さっきからッ!」
 


あたしは声を限りに叫んだ。
 


あたし、千住都季(せんじゅ・とき)。

あたしが十九年間の人生で学んだことは、たぶん、結構たくさんある。


その中のいくつかは間違っているかもしれない。

けれど、
これだけは絶対不変の真実だ。
 

――白馬に乗った王子様など、この世界のどこを探したっていやしない!


っていうこと。



少なくとも現在あたしの身の回りにいるのは冷血漢とその子分、あとはゲス野郎ばかりだ。
 


この一ヶ月というもの、あたしの身の回りに怒ったことを一言で表現すると、まさに疾風怒濤(しっぷうどとう)!というのがふさわしい。



同じ大文豪ゲーテによる名言でも、「ギョーテとは俺のことかとゲーテ言い」ではないところがミソだ。
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