ROMANTICA~ロマンチカ~
「申し訳、ございません……」 


 
――し、死んだ方が良かったかも……。 
 


恥ずかしくて、死にたかった。
 


「それじゃ、私はこれで会合に戻るよ」

 
「先生、申し訳ありませんでした」


 
そそくさとその場を去ろうとする先生に涼輔さんが頭を下げた。


 
「気にしなさんな、涼輔君。あまり叱らないであげなさい」


 
惨めだった。


ものすごく惨めだった。


水に濡れると、どうして人はこうも惨めな気分になれるものだろう……。
 


「あの……パーティは……?」
 

「もうお開きだよ。


ったく、子供じゃあるまいし……池に落ちるなんて、聞いたことがないぞ」
 


「ごめんなさ……エグッ……」
 


「泣くな!」 
 


ティッシュを手渡してくれながら、涼輔さんが言った。
 


「もういい。私も悪かったよ。君を驚かせた」
 


その口調は、さっきよりいくらか優しかった。
< 160 / 369 >

この作品をシェア

pagetop