ROMANTICA~ロマンチカ~
「ダメです。

二、三日は安静にしているようにって、先生がおっしゃっていましたし。

原島さんが秘書の方に連絡したら、二日間の予定をキャンセルしてくれたそうですよ。

皆さん、心配しています」
 


涼輔は舌打ちしたが、大人しくまた横になった。
 

熱は下がったようだが、まだ身体の芯がだるい。相当疲れが溜まっていたらしい。
 

「大学は?」
 

「今日は、お休みします。あの、おかゆ作ってもらってきますね」

 
「いい。食欲ない」

 
「少しでも食べないと治りませんよ」

 
「……大学へ行け。サボるな」

 
「……今日は、看病しますから」

 
「よし、じゃあこうしよう。君が学校に行くなら、私も何か食べる。真面目に勉強するのが、書生の勤めだ」
 

「……わかりました……」
 


面白くなさそうな顔だったが、素直に席を立つ。
 


「都季」


 
部屋を出ようとする彼女の背中に呼びかける。
 


「ありがとう」
 


振り返った彼女の泣き笑いのような顔は、忘れがたいものだった。


氷室家では、最近とみに涼輔の機嫌が良いと評判だった。
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