ROMANTICA~ロマンチカ~
――おお、木村さんって、思ったよりいい人ではないか!
 

あたしが思うに、ミステリー・マニアとチャイコフスキー大好き人間に悪人はいない。
 

「それじゃ、これ、行かない?」
 

木村さんが、ミュウ・ミュウのバッグからチケットを取り出す。

二枚ある。「クリスマス・コンサート――日本が生んだ天才少女ヴァイオリニスト庄司(しょうじ)まりあとニューヨーク・フィル 夢の競演」。

曲目はチャイコフスキーの『ヴァイオリン協奏曲』にドヴォルザークの『ロマンティックな小品』など盛りだくさん。
 
「い、いいの?! 一緒に行って?!」
 
チャイコフスキーの、しかも『ヴァイオリン協奏曲』なんて、あたしが一番好きな曲じゃない!
 
ランランランラララリラリラリラリ ランランランラララリラリラリラリ……

って、思わず鼻唄もでようってもんだ。
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