ROMANTICA~ロマンチカ~
「いいんだ。私が学校を出て以来、面倒な用事は全部私に押し付けて、自分は海外を遊び歩いてばっかりいるんだ。

当分くたばりそうにないし、たまにはストレスにさらされた方がボケ防止にもいいだろう」
 
その言葉には、多分に恨みじみたものが込められていた。

涼輔さん、ナニゲにストレスたまってるんだ。

彼の仕事ぶりを見ていると、本当に激務って感じだから、わからないことはないけれど。
 
「涼輔さん、冗談でもおじ様が死んだらとか、言ったらダメです」
 
なるべく重たくならないように言ったつもりだけど、あたしの言葉に一瞬考えた後、涼輔さんは言った。
 
「わかった。もう言わない」
 
こういう時の彼は、とても素直だ。あたしも、もうちょっと見習った方がいい。
 
「ありがと。誘ってくれて」
 
フワッと抱き寄せられた。いい匂い。額にキスされる。
 
「嬉しいな。レストラン、予約しとくよ」
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