ROMANTICA~ロマンチカ~
今ごろ彼女は、また新しい、若いツバメを探しているかもしれないし、既に見つけているかもしれない。
 
もう一度、芳しい香りを胸一杯に吸いこむ。
 
菓子が焼き上がったら、女の子でもナンパして来て、たっぷりと堪能しよう。

菓子のことか、女の子のことかって? 

ヤボなことを訊くものじゃない。
 

十二月二四日。

クリスマス・イヴの夕方に、ジンジャーマンズ・ブレッドを焼く男、柳屋光。
 

二十七歳の独身男としては、非典型的な過ごし方かもしれないが、柳屋は悦に入っていた。
< 200 / 369 >

この作品をシェア

pagetop