ROMANTICA~ロマンチカ~
「どこか具合悪い? 三日も電話にも答えないで……病院行く?」
 
「いい。ほっといて」
 
「ほっといてって、あんたねえ……何があったのよ? その様子じゃ、予備校行ってないね?」
 

三日間、か。お風呂にも入っていないあたしは、地獄の娘だったと思う。
 

「仕事は?」
 

「途中で切り上げてきたわよ。会社の人に見に来てもらっても、誰も出ないって言われたし。

もう、どうしたの? 

何があったか、言ってみなさいよ。あんた受験生なんだよ、そんなことでどうするの? こんなんじゃ、パパだって心配するよ」
 

パパ……。
 

高梨君の彼女にはパパがいるけれど、あたしにはパパがいない。

パパがいる子は、お嫁さんになって幸せになるという将来を夢見ることが許されるけど、あたしにはそれは許されなかった。

パパがいなくなったせいで、あたしの人生は変わってしまった。パパのせい。
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