ROMANTICA~ロマンチカ~
高城は角材を取り落とし、警官に取り押さえられた。

富沢靖男と旗丸理恵子にも手錠がかけられ、手の空いた警官があたしの猿ぐつわと両手を縛ったダクトテープをほどいてくれた。
 

偉そうな高嶺署長に、ことのあらましを手短に説明した後、涼輔さんがあたしの方にやって来た。

さっき角材が当たったのが応えているようで、足を引きずっている。
 

「都季、大丈夫か? 怪我は?」
 

「大丈夫」

うなずくと、涼輔さんの肩の力がフッと抜けた。 
 
「涼輔さん……」
 

――足、痛いんでしょう? さっき電話ではあんなに怒っていたのに、どうしてそんなに優しくしてくれるかなぁ? 
 
「ごめんね、涼輔さん……。ごめんなさい……」
 
本当に情けない話だけど、あたしはワンワン声を上げて泣いてしまった。
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