ROMANTICA~ロマンチカ~
こういう時は、どうして子供帰りしてしまうんだろう?
 
「そんなに泣かなくっていいから。もう、大丈夫だからさ」
 
屈んであたしの頬から涙を拭ってくれる。
 
――『もう大丈夫だ』
 

何度もくりかえして見た夢の情景とかぶり、夢の中の美少年と涼輔さんがまじりあって、一つになった。

ああ、あれは夢じゃなかったんだ。

どうして、今まで忘れていたんだろう……。
 

「涼輔さん……。

思い出した。

あの時、犬に襲われそうになった時、助けてくれたのは、涼輔さんだったのね……」
 
涼輔さんは、肯定も否定もしなかったけれど、あたしは確信していた。
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