ROMANTICA~ロマンチカ~
仏頂面の涼輔さんの右足は、足先から膝下までギプスで巻かれた。
 

ギプスが完全に固まるまで、足を両手と膝で支えながら、武藤院長は言った。
 


「思い出すねぇ、随分昔のことだけど、軽井沢で犬に噛まれたことがあったじゃないか。

あの時、君は一緒にいた女の子をかばったんじゃなかったのかい? 

最後まで認めなかったが。

……おや、この間池にはまったあなたがあの時のお嬢さんか。

大きくなったね」
 


え? 軽井沢? 犬に噛まれた? 


 
「犬に……噛まれたの?! 

もしかして……腕の傷?!」
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