ROMANTICA~ロマンチカ~
兄弟なら何とか納得して許そうと心がけるけれど、兄弟は四歳児の心の中ではやっぱり敵だ。

上の子にとって、下の子は自分と親(おもにママ)の間に割り込んできた不法侵入者だし、下の子にとって上の子は、不当にも何年間かママを一人占めにしたロクデナシだ。

まして、他人だったら、無条件に絶対に許せない。
 

今にして思うと、涼輔くんは本当にお行儀が良かったし、可愛かったし、お母様がいない上にお父様も多忙であっても、寂しいなんて泣き言を言うことは絶対になさそうで、いじらしい子供だった。

パパとママが涼輔くんに優しかったのは、彼の可愛さだけじゃなくって、多分に同情も入っていたんだと思う。
 

だけど、四歳児でエゴイストのあたしは、涼輔くん憎し! だった。
 

別荘では、パパとママは大人のお話をたくさんしなくてはいけなくて、あたしは面白くなかった。
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