ROMANTICA~ロマンチカ~

11.バイバイ、プリンス

武藤病院の特別室。

病院というよりも、ホテルみたい。
 

痛み止めが効いてきたのか、涼輔さんが規則正しい寝息を立てている。
 
病院の涼輔さんには、きっと原島さんが付き添うんだろうな。
何となくそう思っていた。
 

「心配をかけたな」
 

きまり悪そうな涼輔さんに、原島さんは優しい口調で言った。
 

「明日の朝、お迎えに上がります」
 

誰か付き添った方がいいのかな、だけど、あたしがいたって何の役に立つわけでもないし……。

悩んでいた所に涼輔さんの一言。
 

「都季、一緒にいて」
 

熱のせいか、少し潤んだ目で涼輔さんに見つめられると、何も言えなくなって、ベッドサイドの椅子に腰掛けるよりなかった。
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