ROMANTICA~ロマンチカ~
「嘘……」

 
信じられない……。

負け犬と呼びたければ呼べばいい。

だけどあたしは、今の今まで、片思いしかしたことがない。


相思相愛なんていうものに、自分がいつか誰かとなるかもしれないなんてことは、ないだろうと内心諦めていたくらいだ。それなのに……。


 
「嘘じゃない。

都季が好きだ。

都季が一緒だと、気持ちが和む。

これは理性を超えた本能の領域だから、とやかく言ったって仕方がない。

ずっと一人でいたような気がしたが、都季といると、一人じゃないって気分になった。

今までも、一人じゃなかったとわかった。

都季がまだ、お母さんを亡くしたショックから完全には立ち直っていないのはわかる。

お母さんのことは、本当に残念だった。

できれば俺も、生きておられるうちに直接挨拶に行きたかった」
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