ROMANTICA~ロマンチカ~
ヤナギヤさんは言った。
 


「そうじゃない。

君の話を聞いていると、本気で君がその三人に会いたいと思っているようには思えない。

君は、混乱している。

君は、自分の目の前に訪れた事態を受け入れ、冷静に対処することから逃げようとしているだけだ」
 


「違う! 逃げてなんかいない」


 
かなりムッとして、あたしの口調はきつくなった。
 


「いや、逃げている」
 
「逃げてないわ」
 
「わかった。じゃあ、そういうことにしておこうか」
 


あたしの反発に、探偵さんは、相変わらずとぼけたようなノーテンキな口調で言った。
 

「君は遠縁の親子、それに君のお母さんの秘書をしていた人に会いたいと言う。だけど、氷室氏が会わせてくれないと。

しかし、いくら遠方に出向させられたとはいえ、彼らが君に連絡を取りたいと望めば、できないわけでもなかったんじゃないかな。

君だって、ケータイくらいは持っているだろう?」
 


「う……」
 


探偵さんは巧みに話題をすりかえた。
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