ROMANTICA~ロマンチカ~
それもそうだとシュウちゃんがうなずく。


「それに都季ちゃん、さっきのことで君もわかっただろう。

東京っていう街は、身寄りのない女の子が一人で生きて行くにはタフすぎる場所だって」


 
「それは……」


 
あたしは溜息をついてうつむいた。


 
そう、悪くしたことに、ママがあたしに残すはずだった遺産の管理まで氷室涼輔がやっていた。



つまり、あたしはヤツの許可がなけれなアンパン一個買うことができないのだ。



事実上の破産宣告。



実際、破産した人たちだって、アンパンくらい自分で買うことができると思う。



「そんな暗い顔するなって。

俺の勘が告げている。近い将来、君が彼ら三人に会えるだろうと」
 


「そ、それって、探偵さんが探してくれるっていう意味? しかも無料で?」
 

思わずガバチョとばかりに顔を上げると、探偵さんは、百万ドルの笑顔を浮かべ、
 

「アナタのためなら、たとえ火の中水の中」
 

おどけてみせた。
< 58 / 369 >

この作品をシェア

pagetop