ROMANTICA~ロマンチカ~
シュウちゃんは、嫌そうな顔をして頭を抱え込んでいた。



彼の気が変わらないうちにと思い、あたしは言った。
 


「ありがとう、ヤナギヤさん」
 

「どういたしまして」
 


探偵さんは花のように微笑んで、
 


「それじゃあ、ここに連絡先書いて。

僕はいつだって都季ちゃんの味方だから、そのことを忘れないでね。

だけど、ここで一つだけ約束して欲しい。万一君の方が俺より早く三人のうちの誰かと連絡がつけられた場合には、必ず連絡して、僕の指示に従って欲しい」
 


「うん。わかった」
 


あたしがコクコクとうなずくと、名刺を渡してくれながら、
 


「それから、君は自分の運命から逃げてはいけない。これは絶対にだ」
 

その時は意味がわからなかったから、だからあたしはもっともらしくうなずいた。
 


「君は安心して待っていればいいんだよ。

何しろ君の目の前にいるこの男は探偵だ。

探偵に不可能はない。

君にとって最良の結末が得られるようにしてあげる」
< 59 / 369 >

この作品をシェア

pagetop