ROMANTICA~ロマンチカ~
そのまま泣き寝入りしてしまったらしい。



「都季様。着きましたよ」



執事の原島さんの言葉に目覚めたら、そこは氷室家のお屋敷。

あたしの隣に氷室涼輔はいなかった。
 


頭には、まだ温かい掌の感触が残っていて、手には彼が貸してくれた白いハンカチを握り締めていた。

 
その時には、富沢の小父様に俊夫さん、理恵子さん、それに今日出会った探偵さんのことをほとんど忘れかけてもいた。
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