ROMANTICA~ロマンチカ~

4.貴公子と二人

部屋の入り口には、腕組みした氷室涼輔。


――ゲゲッ!


気まずい……



だって、あたしの中では、彼に呼びかける時に何て呼べばいいのかも、決まってないのにっ!



その氷室涼輔。ネクタイはしておらず、スラックスに、ゆったりとしたシャツというカジュアルな装い。

シャツの襟は第二ボタンまでオープンにして、腕まくりをしている。



だらしなく見えないのは、彼だからだろう。
 

手には本屋とCD屋さんの紙袋。
 

「りょ、涼輔様、今お帰りで……」
 

動揺してる。原島さんが動揺している。 
 


「一時間前に帰ってきて、もう風呂もすませたぞ」
 

そう言われてみれば、夕方会った時みたいに髪の毛がセットされていない。
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