キケンなアイツとの生活
「千夏さん……」
「…なぁに?」


やっぱり千夏さんには言いたいと思った。そんなわたしの思いが通じたのか、千夏さんも姿勢を正し、聞く姿勢をとってくれた。


「あの、私……好きな人がいたの」
「…そう」
「うん、彼女がいるのは知ってたんだ。でも、好きになったのは、わたしが先なのに、なんで?どうして?って、ずっと思ってたの」


先に好きになったとか、そんなの関係ないのにね…。


「それでなるべく、見ないように、関わらないように気を付けてたんだけど、昨日帰りに見ちゃって……」
「それで、家に帰って来れなかったのね」
「うん…。というか、走ってたら冬弥さんのホテル近くまで走ってたみたいで…」
「えっ?だって、こっからでも車で20分はかかるでしょ!」


千夏さんは、すごく驚いた顔をした。わたしもビックリだったんだから、当たり前だよね。


「ホント自分でもビックリしました。冬弥さんから電話きて、場所言ったらすぐ来てくれて、その時に知って…」
「そう、でも良かったわ。愛梨ちゃんは帰ってこないし、変質者のことも聞いてたから、楓太もかなり心配してたのよ」
「ごめんなさい……」


パパにも迷惑かけちゃったよね…。今日帰ってきたら謝らないと…。


「でね、千夏さん……」
「ん?なぁに?」


これも、ちゃんと言わないと…。はぁぁ、緊張する…。


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