キケンなアイツとの生活
「ねぇ、パパ…」
「どうした?」


再びわたしが話しかけると、パパはわたしの声に耳を傾けてくれた。


「千夏さんには言ったんだけど……」
「あぁ」
「わたし……千夏さんに、ヤキモチ妬いてた…」
「愛梨…」


やっぱりパパにも言うべきだと、意を決して伝えると、パパはわたしをギュと抱きしめてくれた。


「でもね、これじゃいけないなって気付いたの」
「愛梨…」
「ちゃんと、パパの幸せを願ってあげないとって」


これじゃあ、パパがあまりにも、かわいそうに思えてきて…。それに、わたしやっぱりさっきから冬弥さんが気になって仕方ない…。視線は感じるんだけど、ドキドキして目が合わせられないの。


「そんなことない、愛梨。パパの幸せの前に、パパは愛梨が幸せであってほしいんだよ」


そう言って、何度もわたしの髪を撫でる。パパの手は大好きだ。でも、冬弥さんの手は、もっと好きなんだ…。


「ホント?」
「あぁ、ホントだよ」
「じゃあ、応援してくれる?」
「お、応援?どういうことだ?」


パパは若干、パニックになっていて、千夏さんは笑いを堪えているように見えた。冬弥さんは……分からない。


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