キケンなアイツとの生活
「さて、と!無事問題解決したわけだし、愛梨ちゃんお腹減らない?」
「あ、減った!」


千夏さんが両手をパンと叩くと、わたしも冬弥さんから離れた。緊張が解けたら、お腹減っちゃった。


「あのねっ、冬弥さんが好きだっていう、シュウマイと肉うどん作ったの!」
「マジ?」
「マジ!ね、千夏さん?」
「そうよ、冬弥のために頑張ってたわよ〜?」


改めて言われると、恥ずかしい…。冬弥さんのために、なんて言われたら…。


「……愛梨の気持ちが分かった気がする」
「え?パパ?どうしたの?」


ふと、下の方で声がして、見ればパパが体育座りをして、おでこを膝に付けていた。パパの傍に座り、肩に触れると少しだけ肩が震えているのが分かった。


「愛梨たちが三人で楽しくしてるのがパパ、寂しいよ…」
「パパ…」
「それに、冬弥くんの好きなものを愛梨が作るなんて…パパ、パパは……」
「じゃあ、明日はパパの好きなナポリタン作ってあげる!」


わたしがそう言えば、ピクリと肩が反応した。パパは、ママの作るナポリタンが大好きで、ママから唯一伝授してもらったのがナポリタンなんだよね。


「愛梨ちゃんの、ナポリタンわたしも食べてみたいなぁ?」
「もちろん!お口に合うか分からないけど、千夏さんにも食べてもらいたい!」
「愛梨のナポリタン……」
「パパ、好きでしょ?」
「……あぁ」


パパもヤキモチって妬くんだなぁ、と初めて思った。わたしだけじゃないんだ、って。そう思うと、少し嬉しく思った。


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