キケンなアイツとの生活
「ホントに?うん、じゃあ、行ってくるわ」


オレは席を立つと、愛梨ちゃんが行ったであろうトイレを目指し、廊下に出た。


一応トイレの場所は表示されてるから、いくら方向音痴でも、トイレには辿り着けるはずだ。


……ほら、いた。


ただ、彼女は迷ってたんじゃなくて、トイレの近くにある休憩スペースのソファーに座っていた。


彼女の横顔はすごく悲しげで、声を掛けるかどうか迷った。


けど、せっかくの食事会だ。


小さく息を吐くと、オレはゆっくりと愛梨ちゃんに近付いた。


「愛梨」
「……っ、」


オレが声を掛けると愛梨は、目を丸くして驚いているようだった。


「トイレには、行ったのか?」
「……はい」
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