キケンなアイツとの生活
「愛梨は、どう思ってんの?」
「………」
「愛梨?」


冬弥さんは、頭に手を乗せながら、わたしの顔を覗き込んだ。そんな冬弥さんに、なんとなく目を背向けてしまった。そして、少しずつ話すことにした。


「千夏さんのことは、好きだよ…。でも、パパは、わたしよりも千夏さんが好きなんだって、思ったら悲しくなって……」
「うん」
「いつも、パパがわたしに頭ポンポンしてくれたり、高校生のくせして恥ずかしいけど、よくギュってしてくれてたの、ママがしてくれてたみたいに…。それも、してくれないんだ、って思ったら……、」


ホントに高校生のくせして、情けない。とんだファザコンだ。自分でも気持ち悪いって、思う。でも仕方ないんだ、これが今思ってることなんだもん…。


「その役目、オレがしちゃダメ?」
「へっ?」


その役目って、パパがしてくれたような…?今してくれてる頭ポンポンとか?……ギュ、とか。


……それを考えただけで、自分のカラダがおかしいくらい反応した。抱きしめられるのを想像しただけで、熱くなるって、わたしのカラダおかしくなったんだろうか…。


「今、抱きしめていい?」
「………ヤダ」
「オレのことキライだから?」
「……チガウ、そうじゃなくて」


言わないと分からないのかな。そういうものなのかな。でも言って引かれるのもヤダし…。


って、わたしなに考えてるんだろ。べつに冬弥さんに引かれたっていいのに。だってわたしが好きなのは冬弥さんじゃなくて、蒼甫なんだし。


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