エデンの林檎
車酔いに苦しんでいる私を松本君がひょいっとおぶって
養護室まで運ばれた。
うっすら目を開けてみると心配そうな顔をした栞が私を見ていた。
「優愛、大丈夫!?!?」
「ん…。」
「私、先生呼んでくるね。
松本君、優愛のことお願いね。」
「あぁ。」
栞はパタパタと小走りで養護室を出ていった。
今、私は松本君と二人きり。
入学式以来、これで二回目。
「大丈夫か??」
「んー…ちょっとはマシになった…かな…。」
「そっか…。」
「松本君…ありがとね…。
ごめんね…??
付き合わせちゃって。」
「いや、オレ何もしてないし。
迷惑だとも思ってないし。
星野は何も気にしなくていい。」
「ありがと…。
優しいんだね…松本君って…。」
私、知ってるんだよ…??
松本君は強がりで、本当は心の優しい人だって。
今まで重かった瞼がだんだん私の目を覆い被して
ここで意識が途絶えた。