愛してるの定義(ヒカリの直後)


「奈々子さんを抱きたい」

「わたしは嫌です!」

「どうして? もう何度も抱かれただろ?」

「愛されてないのに、抱かれたくないの!」

「だから、愛してるって言ってるじゃないか!」
結城は脇にあったクッションを、いらだちまぎれに窓に向かって投げつけた。


部屋の空気は冷たい。
彼の呼吸だけが、熱い。



「頭の中が、奈々子さんでいっぱいなんだ」

結城が言う。


「失いたくない。
離れたくない。
他の誰かじゃだめなんだ。

これを『愛してる』って、世の中は言わないのか?」


< 11 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop