愛してるの定義(ヒカリの直後)
「奈々子さんを抱きたい」
「わたしは嫌です!」
「どうして? もう何度も抱かれただろ?」
「愛されてないのに、抱かれたくないの!」
「だから、愛してるって言ってるじゃないか!」
結城は脇にあったクッションを、いらだちまぎれに窓に向かって投げつけた。
部屋の空気は冷たい。
彼の呼吸だけが、熱い。
「頭の中が、奈々子さんでいっぱいなんだ」
結城が言う。
「失いたくない。
離れたくない。
他の誰かじゃだめなんだ。
これを『愛してる』って、世の中は言わないのか?」