愛してるの定義(ヒカリの直後)
「今まで『死』はすぐ側にあったけれど、『生きる』ことなんか考えたことがなかった。
なんとなく呼吸して、なんとなく暮らしてたんだ。
でも、奈々子さんとは生きたい」
「それを『愛してる』って言わないの?!」
結城が奈々子を強く抱きしめる。
奈々子は抵抗しなかった。
「どうしたら伝わる?」
奈々子は目を閉じた。
結城の鼓動を感じている。
彼の暖かさを感じている。
「いかないで」
結城が言う。
「うん」
奈々子は自然とそう答えた。
結城は身体を離し、奈々子を見つめる。
奈々子の頬に手を触れる。
そのまま、唇をあわせた。