【完】恋のキューピットは山田君!
と、楽しそうに笑う先輩。
私は、一度大きく深呼吸してから、先輩
を真っ直ぐ見つめた。
「あの、先──」
───~♪
その時、私の言葉を遮るようにして流れ
た着メロ。
先輩が、「あ、俺だわ」なんて言いなが
ら、スマホを取り出した。
どうやら電話だったらしく、先輩がスマ
ホを耳に当てた。
「もっしもーし。うん……うん、わかっ
た、待ってんねー。じゃーな」
「……お、お友達ですか?」
先輩がスマホをポケットに突っ込んだの
を見計らってから、そうきく。
だけど、次の瞬間、先輩の次の言葉で。
「ううん、彼女~」
時間が、止まったかのような錯覚を覚え
た。
先輩の言葉が、理解できなくて。理解、
したくなくて。