My Precious ~愛する人よ~ Ⅰ



「アレン様」




朝日に照らされた美しい森に目を落としていると、不意に静かな声が背を叩いた



「グレイス」



振り返った先にいた彼女の名を呼ぶ

朝日を浴びる彼女があまりにも美しくて、思わず瞳を細めた




「どうされたのですか? 外ばかり見て」

「いや――美しいと思ってね」




柔らかく微笑み返しながら、俺の隣に立つグレイス

絹の様な茶色の髪が、俺の腕を撫でる



あれから彼女は俺の身の回りの世話をしてくれている

毎日こうやって尋ねてきては、いろいろ話をしている



おかげで初めて会った時よりは、笑顔を見せてくれる様になった





「今日、よろしかったら国をご案内いたしますわ」

「――え?」

「ホリス様からお許しがでました」



そう言って、ニッコリと笑うグレイス

朝日を取り込んで、そのブラウンの瞳が輝く

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